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先月のサンレコで、Vaundyのスタジオインタビューが公開されていたのですが、その中で彼がこんなことを言っていました。
BABY AUDIOのプラグインはすごくいいです。マジで良いからあまり教えたくないくらい(笑)。BABY AUDIOの中でもテーブエミュレーションのTAIPと、リバーブ/ディレイプラグインのSPACED OUT は最強です。これらがあれば僕のイメージする音を、ほぼ再現できます。
VAUNDY インタビュー – サウンド&レコーディング・マガジン 2024年1月号
Baby Audio製品は試したことがなかったのですが、Vaundyをここまでうならせるプラグインを、見過ごすわけにはいきません。
すでに結構な数のリバーブやディレイプラグインを持っているのですが、 気になったのでSpaced Outを使ってみることにしました。
使ってみると、
- リバーブとディレイを同時にコントロールできる操作性の良さ
- 独特な質感のリバーブ/ディレイ
これらがとても心地よく、最近はメインのリードシンセやアルペジオなどによく使っています。
「DREAMY WET-FX PLUGIN」 と紹介されているように、広い空間性のあるきらびやかなサウンドが特徴で、 触ってみれば、すぐにその使いやすさと音作りの自由度の高さに引き込まれるでしょう。
「シンセの音をかっこよくしたい」「独創的なサウンドデザインがしたい」という方は必見です。
それでは早速、見ていきましょう。
Spaced Outの使いどころ
Spaced Outはシンプルなリバーブやディレイプラグインとは違い、積極的なサウンドデザインに向いています。
Spaced Outを使うと、良くも悪くもかなり独創的なサウンドになってしまいますので、「ドラムに軽くリバーブ感を与えたい」「ボーカルにほんの少し空間性を持たせたい」といった用途なら、もっとシンプルなリバーブやディレイを使う方が良いでしょう。
例えばこの動画を観ると、 Spaced Outを使うことで、大胆にボーカルの雰囲気が変化しているのがわかります。
Spaced Outならではの面白い機能
このプラグインの注目すべきところは、XY式ミキサーと、ディレイシーケンサーです。
まずミキサー部分ですが、このXY方式のミキサーを使うことで「DRY/WET」「REVERB/DELAY」の4つを自在にコントロールできます。
リバーブとディレイ、それぞれ別々のプラグインではなく、1つのプラグイン内で同時にコントロールすることで、直感的かつスピーディーな音作りができ
最初は、「1つのプラグインにリバーブとディレイが入ってこの値段て、質が良くないんじゃないのか…」と疑っていましたが、実際に使ってみると決してそんなことはなく、とても実用的なサウンドです。
ディレイ部分は右の写真のようにシーケンサーになっていて、楽器や音楽の流れにに合わせて、細かくディレイ感をコントロールできます。
このタイプのディレイは見たことがなかったので、なかなか画期的だなと思いました。
ディレイがシーケンサーになっていることで、複雑なディレイからサイケデリックなディレイまで、さまざまなディレイを作り出すことができるようになっています。
シンプルで直感的な操作性
Baby Audioのプラグインは、アナログギアのサウンドを、現代的なシンプルなインターフェースに落とし込むことを意識して開発されています。
なので、操作はとてもシンプルで直感的。
なんとなくパラメーターをいじるだけでも、簡単に面白いサウンドを作ることができます。
左のDelayセクションや、真ん中のMixerセクションにはサイコロのマークがついているのですが、これを押してランダムにエフェクトを切り替えていっても、毎回破綻せず面白いサウンドになってしまうのがすごいところです。
パラメーターによってわかりにくい項目もあるので、マニュアルを確認しながら使い込んでいきましょう。
こちらの動画が、それぞれのパラメーターを細かく解説していて、とても分かりやすかったです。
これがあれば他のリバーブやディレイはいらない?
いえ、他のリバーブやディレイも持っている方が、音作りの幅が広がります。
Spaced Outは、リバーブとディレイが一括で設定できて便利なのですが、「リアルな空間の響き」を求めるなら、他のプラグインの方が良いと思います。
僕の中で、Spaced Outは「インスタントリバーブ・ディレイプラグイン」という位置付けです。サクッとリバーブやディレイで空間性を持たせたい時に使う、もしくはがっつりサウンドを変化させたい時に使うイメージ。
リアルな響きが必要なのは、例えば、
- ピアノに、まるでホールで弾いているような美しい響きを与える
- ドラムに、スタジオの響きやプレートリバーブの響きなどの、リアルな質感を与える
こんな場面です。
ピアノには、Altiverbのホールや教会のリバーブがすごく映えますし、ドラムだとSuperPlateやHitsville Reverb Chambersを使うと、ドラムサウンドの美しさに加え、ドラム同士の一体感(グルー感)も得られます。
もちろんSpaced Outでも代用はできますが、こういった響きに特化したプラグインを使うことでしか得られないサウンドもあります。
まとめ
実際にSpaced Outを使い込んでいくと、どうしてVaundyが「これらがあれば僕のイメージする音を、ほぼ再現できます。」と言っていたのかがわかります。
- ディレイとリバーブを同時にコントロールできる
- 豊富なパラメーターを駆使した細かい音作り
- ステレオ感、ディレイテンポ、空間、テープ感、リバースなどをワンクリックで調整
このようにイメージする音を再現するための、厳選されたパラメーターが付いていることが、Spaced Outの大きなメリットであり、これが1つの画面にまとまっているのも大きなポイントです。パラメーターのシンプルさは、大量に音楽を作る必要がある、現代の作曲スタイルにもとてもマッチしていると感じました。
僕の場合、「ドラムには、このリバーブ」「アンビエントのシンセには、このリバーブ」と、ある程度プラグインが決まっているのですが、これからリバーブやディレイプラグインの選択に迷った時は、とりあえずSpaced Outを突っ込んでみるつもりです。
そこから、もっと別の響きが欲しければ他のプラグインに差し替えてみる、といった感じで使っていく予定。
Baby Audio「Spaced Out」は、今後より多くのリリースをしていきたい人にとっては、心強い味方になってくれるプラグインだと思いますね。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。