Soundtoysのサチュレーションプラグイン「Radiator」の解説&レビューをしていきます。
Soundtoysのサチュレーションプラグインといえば「Decapitator」が人気ですが、今回ご紹介する「Radiator」は1960年代に活躍した「Altec 1567A」という真空管ミキサーを再現したプラグインです。
このプラグインは効果がわかりやすく操作もシンプルなので、誰でも簡単に自分のトラックにアナログ感を付加することができ、非常に使い勝手の良いプラグインです。
「自分のトラックはどこか平坦な音になってしまう」「音にアナログの温かみやビンテージ独特の歪みを与えたい」いう人は、ぜひ使ってみて下さい。
同じくSoundtoysから販売されている、「Little Radiator」というプラグインもご紹介します。
こちらは単に「Radiator」の簡易版というわけではなく、Little Radiator独自のパラメーターも備えた優秀なサチュレーションプラグインです。
単品でも販売していますが「Radiator」を購入すると一緒に付いてくるので、欲しい音に応じて二つのプラグインを使い分けるようにしましょう。
それでは、順にみていきます。
Soundtoys「Radiator」のモデルになった「Altec 1567A」とは?
RadiatorのモデルとなっているAltec 1567Aは、1960年代に活躍した非常に歴史のある真空管ミキサーです。
この1567Aは、初期のモータウンのヒットレコードでよく用いられ、全米各地の教会や学校のホールでPAのラックに収まっている姿も当時は良く見かけられました。
Media Integration’ Inc.
ヤフオクなどでもたまに実機が販売されていますが、数十万円とかなりの高値で取引されていますね。
今では高値で取引されている機材ですが、ずいぶん昔使われていたこの真空管ミキサーが再び脚光を浴びるきっかけとなったのは「Maroon 5」だそうです。
Altecのミキサーが再び評価され始めたのはここ数年のことです。Maroon 5を手がけてきたプロデューサーMatt Wallaceは、1567Aを彼らの初期のヒット曲で使い、Altec 1567Aから作られたカスタム・コンソールを所有していたBlack Keysの影響もあって、この個性的でカラフルなボックスは高値で取引されるようになりました。ほとんどをコンピューターで処理する現代のデジタル・レコーディングに、アナログのカラーとキャラクターを加えるための最適なツールとして認められてきたのです。
Media Integration’ Inc.
アナログ特有の音というのは、このデジタルレコーディングが主流になった現代でも重宝されていますよね。
そのアナログ機材の音をRadiatorなどのプラグインによって、誰でも簡単に使えるようになったことは個人のプロデューサーにとっても素晴らしいことです。
Soundtoys「Radiator」の特徴と使い方を解説!!
それでは、Radiatorの使い方を見ていきましょう。
基本的なパラメーターは以下の通りです。
- BASS – 低域のEQ
- TREBLE – 高域のEQ
- INPUT – インプットの音量
- OUTPUT – アウトプットの音量
- MIX – 原音とエフェクト音のバランス
とてもシンプルですね。
INPUTを上げることによって、このRadiator独特のサウンドを引き出すことができます。
結構音の変化が激しく、歪みやすいので注意が必要です。
INPUT量を増やしていくとアナログ感も増していくので、平坦なドラムの音もRadiatorでササッと処理するだけでイキイキとしたサウンドに変化させることができます。
こちらの動画でSoundtoysのスタッフも解説していますが、音によってはBASSとTREBLEを最大まで上げるという使い方もおすすめです。
あと気になるのは、左下にある「NOISY – CLEAN」と「MIC – LINE」スイッチですよね。
これは公式のマニュアルにも載っていますが、「MIC – LINE」スイッチによって周波数特性が大きく変化します。
「MIC」は中域の部分に、ガクッと落ちている帯域がありますね。
通常は「LINE」で使用すれば問題ないですが、中域が硬い音源などであればこの「MIC」の特性を生かして音作りをしてみるのも良いでしょう。
「NOISY – CLEAN」スイッチは、オンにすることでサーキットノイズ(アナログ特有の電気系統ノイズ)を発生させることができます。
Soundtoys「Little Radiator」の特徴と使い方を解説。「Radiator」との違いとは?
Little Radiatorは「Altec 1566A」という真空管プリアンプを再現していて、こちらも1960年代に活躍していた機材です。(先ほど紹介したRadiatorで再現されているのは「Altec 1567A」)
Radiatorとはモデリングされている機材が違うので、音の特性や歪み方も違います。
Little Radiatorには4つのパラメーターがついていて、基本的な使い方としてはRadiatorと同じです。
- HEAT – RadiatorのINPUTと同じ役割
- MIX – 原音とエフェクト音のバランス
- NOISE – サーキットノイズを加える
- BIAS – 「Altec 1567A」の独自の歪みを再現
Radiatorと大きく異なるのは、「BIAS」というパラメーターでしょう。
これをオンにすることで、「Altec 1567A」独自の歪みを付加することができます
結構音のキャラクターが変化するので、試してみて原音によりマッチする方を使ってみましょう。
Soundtoys「Radiator」の特徴と使い方を解説!! サウンドに1960年代のアナログ感と温かみを与えるプラグイン | まとめ
今日は「Radiator」と「Little Radiator」の特徴や使い方を解説しました。
ドラムやボーカルにはもちろんおすすめですし、存在感の足りない生音系の音などに使ってもよい結果が得られるかもしれません。
音が平坦だと感じるときにぜひこれらのプラグインを使って、音に存在感を出してみましょう。