MENU
「週刊 スタジオ翁」ニュースレターの登録はこちら

【GEAR SUNDAY】Floating Pointsのスタジオ機材

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

DJと楽曲プロデュースのどちらにもこだわり抜き、才能を発揮するアーティストは音楽界において数少ないですが、Floating Pointsはその数少ない、類まれなる才能を持ったアーティストであることに間違いありません。

彼の音楽には、ダンスミュージックとひとくくりには出来ない魅力があります

それはジャズやクラシックなど、様々な音楽に触れてきたバックグラウンドが影響しているのかもしれません。

Floating Points – LesAlpx (Official Audio) 

2019年もいくつものリリースを発表し、世界中でギグをこなしている「Floating Points」ことサム・シェパードのスタジオギアに、今日はせまっていきましょう。

Floating Pointsのスタジオ機材にせまる

Floating Points Studio & Live Rig 

Floating Pointsは機材に関して、並々ならぬこだわりを持っていることで知られています。

スタジオ機材は動画を見てもかなり多くありますが、単に機材をコレクションするのが好きというわけではなく、いろんな実験を重ねてその機材を知り尽くしてから新しい機材に手を付けるようにしているとのこと。

 

とにかくこだわりが強く、スタジオミキサーはルームシェア時代に多額の借金をしてまで購入した「API1608」という5,000,000円オーバーのものを、ターンテーブルはラジオ業界で使われるEMT社製のものを所持しています。

ひえー、初心者には手が出ないね。

さらにDJミキサーは好みのものが市場に出回っていないなら作ってしまおうと、Isonoeという著名ブランドに掛け合って作ってしまうなどかなりの変態っぷりを発揮していて、おまけに何年か前は音楽制作やギグの傍ら神経科学の博士号をとるため研究に没頭していたと聞くと、彼がどのくらいぶっ飛んだアーティストなのかが理解できるかと思います。

DJミキサーを共同開発してしまうほど機材への愛がすごい

Floating PointsとIsonoe社がロータリー・ミキサーを発表 – Resident Adviser

「isonoe社」は日本でそれほど知名度がないかもしれませんが、DJミキサーやターンテーブルのハウリングを防ぐためのアイソレーションフィートというものを作っている会社です。

あわせて読みたい
【体験談】ハウリング対策は世界標準の「Isonoe Isolation Feet」がおすすめ – レコードプレーヤ... レコードを使ってDJをする際、「ブーン」という低域のハウリングに悩まされたことはないでしょうか? ハウリングはDJにとってもクラブ経営をするオーナーにとっても、と...

Isonoeの既存のミキサーはクラブで聴いたことがありますが、出音は素晴らしく僕のお気に入りのミキサーの一つです。

お値段も他のメーカーから出ているDJミキサーに比べると群を抜いて高いのですが、Floating Pointsが共同開発したミキサーは既存のミキサーの比ではなく、完全オーダーメイドで3,000,000円近くするようです。

Floating Pointsのこだわり抜いたスタジオ機材の数々

Floating Points: 労をいとわず、どこまでも – Resident Adviser

Floating Pontsの使用する機材は、このResident Adviserのインタビューに多く掲載されています。

早速みていきましょう。

 

モニタースピーカーはDeadmau5やTodd Terje, Flumeなど多くのアーティストが愛用している「ATC SCM25A Pro」です。

ペアで1,000,000円近くするプロ使用のスタジオモニターですね。

ミキシングコンソールは先ほどもご紹介した、「API 1608」コンソールです。

あとはシンセサイザーも多くのコレクションがあるようです。

左に見えるのが「Buchla 227e」で、操作しているのは「ARP ODYSSEY MK3」です。

「ARP ODYSSEY」は最近KORGやBehringerが復刻版を出していますが、これはもちろん本物でしょう。

 

「Buchla」はMoogと並ぶ有名シンセメーカーで、昨今のモジュラーブームで再び人気に火がついているような感じがします。

BuchlaとMoogのシンセサイザーの歴史に興味がある方は、こちらの映画「I Dream of Wires」をぜひご覧になって下さい

I Dream Of Wires 2014 documentary Trailer – Official 

今までシンセサイザーがたどってきた歴史がよく理解できますよ

モジュラーシンセの夢が詰まった一本じゃな。

観終わった後はBuchlaのシステムやモジュラーシンセが欲しくてたまらなくなってしまうので、くれぐれも注意してください。

 

あとFloating Pointsの楽曲の欠かせないのは「Fender Rhodes」でしょう。

こちらのライブでも演奏していますね。

Floating Points – Full Performance (Live on KEXP) 

その他スタジオ写真から分かるのはProphet 6「EMS Synthi AKS」「Oberheim OB-8」などでしょう。

Prophet 6」なら、ミキシングコンソールやスピーカーほど高すぎて手が出ないという機材ではありませんが、それでもなかなか高価な機材です。

「EMS Synthi AKS」は桁違いのビンテージシンセで、1,000,000円超えです。

まとめ

いかがでしたでしょう。

今回ご紹介したFloating Pointsの機材はどれも高価で、簡単に手に入れられる代物ではありませんが、一流のプロデューサーを目指すなら苦労してでも手に入れる価値のあるものばかりです。

機材が高すぎて真似できなくても、彼のプロ魂やこだわりは全てのプロデューサーが真似るべきものだと思いますね。

サービス・書籍について

<ニュースレター>

週刊「スタジオ翁」beehiiv版

毎週、音楽制作やAIに関する話題、世界の音楽ニュースなどを紹介しています。

<著書>

AI時代の作曲術 – AIは音楽制作の現場をどう変えるか?

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

 

この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?