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LANDR Mastering Plugin PRO | AIマスタリングのパイオニアによる確かな音質

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総合評価:

原音重視の自然なAIマスタリングを求める方におすすめ。

メリット

デメリット

  • 原音のバランスを崩さず自然にマスタリング
  • 初心者にも使いやすいパラメーター
  • 膨大な過去のマスタリングデータから導き出された、AIアルゴリズム
  • Ozoneのような細かい調整ができない
  • リファレンス音源は読み込めない

LANDR Mastering Plugin PRO

現在、市場にはiZotopeやTechivationなど、多くのAIマスタリングツールが存在していますが、AIマスタリングが一般的でなかった時代から、この分野に挑戦していたのがLANDRです。

LANDRは約10年前からオンライン上で手軽に利用できるAIマスタリングサービスを提供しており、その登場を皮切りに、eMasteredなどの多くのオンラインマスタリングサービスが生まれました。LANDRは長年のデータ蓄積と実績により、現在も根強い人気を誇っています。

この豊富な経験を生かして、LANDRは新たにプラグイン形式のマスタリングツールをリリースしました。

AIマスタリングといえば「iZotope Ozone」をイメージする方も多いかもしれません。実際、僕の周りでも、「音楽を始めたばかりでもOzoneは持っている」という人は少なくありません。Ozoneは多機能で、楽曲を解析してジャンルに応じた最適なマスタリングを施したり、リファレンストラックに近いサウンドを作り上げたりする高品質なツールですが、実はLANDRの方が自然で原音忠実なマスタリングをしてくれるということをご存知でしょうか?

Ozoneは楽曲を解析してジャンルに応じた最適なマスタリングを施したり、リファレンストラックを読み込んだりできる高品質なツールですが、ただAIマスタリングをかけるだけだと、原曲のバランスが崩れてしまう場合があるんです。

もちろん、EQやコンプレッサーを細かく調整すれば、個々の好みに合わせたサウンドが作り込めますが、「細かい設定は自分でやるから、とにかく元のバランスを崩さずに仕上げてほしい」という場合、LANDRの方が適しています。Ozoneのマスタリング結果に違和感を感じている方は、LANDRを使ってみると、その自然さに驚くかもしれません。

百聞は一見にしかずということで、試しにSuno AIで作った音楽を「LANDR」と「Ozone11」でAIマスタリングし、比較してみましょう。

Suno AIで作った曲
LANDRでマスタリング
Ozone 11でマスタリング

Suno AIで作った曲はすでにバランスが良いので、少しわかりにくいかもしれませんが・・・

LANDRマスタリングは、注意して聴かないと原曲とわからないくらい、自然にマスタリングされているのに対し、Ozone 11マスタリングだと、聞いた瞬間わかるくらい派手なサウンドになっています。(どちらのマスタリングもGain Matchで音量を整えています) LANDRマスタリングはモニタースピーカーやヘッドフォンで聴けば、低音が締まって全体のまとまりが良くなっているのがわかると思います。どちらのプラグインもここから微調整ができますが、方向性は大きくは変わりません。どちらの方向性が好みかによって、使い分けると良いでしょう。

iZotope「Ozone 11」| Ozone 10から順当な進化を遂げた定番AIプラグイン

さて、「LANDRは初心者向けの簡易的なマスタリングツール」と考える方もいるかもしれませんが、実は上級者にもおすすめできるマスタリングAIです。僕がLANDRを使うタイミンングは、まず調整の少ないトラックや映像向けのシンプルなトラックをマスタリングする場合です。原音が崩れないので、AIマスタリングをかけてから微調整する必要がないからです。また、自分の曲に使うときは、最初に各種マスタリングプラグインを使って調整し、最後にLANDRでバランスを整えるというパターンが多いです。他にも、Ozoneのリファレンス機能で好みの曲に近づけてもらい、自分で微調整してから最後の仕上げにLANDRを使う場合もあります。曲の完成度や方向性によって、それぞれのAIツールの特性に応じて使い分けると効果的です。

「原音忠実」という魅力のほかに、LANDRにはもう一つの魅力があります。それが初心者にも扱いやすい直感的なインターフェースです。例えば、EQには「ロー」「ミッド」「ハイ」の3つのみがあり、シンプルな操作で好みのバランスに近づけられます。LANDRのAIがすでにある程度の微調整をしてくれているため、アーティストは細かい部分を調整する必要がなく、音のニュアンスだけに集中して整えることが可能です。また、ダイナミクスやサチュレーション具合もLANDRが整えてくれるので、最終的に自分の好みの音に微調整するだけで済み、初心者でも簡単にバランスの取れた自分好みのサウンドが得られます。

Screenshot

さらに、LANDRには「Warm」「Balanced」「Open」の3つのキャラクターボタンがあり、これを使って低音を強調したウォームな音や、高音を引き立たせたオープンな音を簡単に作れます。例えば、「Balanced」は低音と高音のバランスが取れた音に、「Warm」は低音を強調したまろやかなサウンドに、「Open」は高音を引き立たせ、きらびやかなサウンドに仕上げる効果があります。

LANDRには、プロ仕様の「LANDR Mastering Plugin PRO」と、簡易的な「SE」モデルの2種類があります。SEは基本的にAIにすべて任せるタイプのプラグインなので、ある程度の知識を持った方には、ニュアンスの微調整が可能なPROをおすすめします。また、「自分はマスタリングについて何もわからないから、SEの方が良さそう…」と考えている方にもPROをおすすめしたいと思います。なぜなら、PROモデルのEQやダイナミクスのパラメーターはそれほど難しいものではないので、試しにいじってみることで音の調整について学べるからです。また、音楽制作が上達すると「ここを微調整したいな」といった場面が必ず出てくるため、初めからPROを使った方が良いです。

LANDRは非常にシンプルなプラグインなので、これ以上あれこれ説明する必要もないでしょう。ボタンひとつで、長い間、音楽制作をしている方ですらたどり着けないような見事なマスタリングに仕上げられるのはさすがですね。

LANDRは、以下のような方におすすめです。

  • マスタリングをやったことがないけど、挑戦してみたい
  • 細かい調整は苦手なので、AIに丸投げしたい
  • 原音のバランス崩さず、忠実にAIマスタリングして欲しい

初心者の方や、音楽制作にどっぷりつかる予定のない方にはOzoneは少し複雑すぎるので、LANDRをおすすめします。 どちらを選べばいいか迷ってしまうかもしれませんが、最終的には各プラグインのキャラクターの好みで選ぶのもアリだと思います。

LANDR Mastering Plugin PRO – Plugin Boutique

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<著書>

AI時代の作曲術 – AIは音楽制作の現場をどう変えるか?

作曲AIに関する書籍を出版しました。

アイデアの出し方から作曲、アートワーク制作に至るまで、音楽制作からリリースまでの一連の流れにAIをフル活用する方法を解説しています。Kindle Unlimitedで読めるので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

 

この記事の著者

Isseyのアバター Issey 作曲家、音響エンジニア

23歳で音楽制作を始め、「Ohme」「Issey Kakuuchi」名義で国内外のレーベルからリリースを行なっている。 クラブやライブイベントの音響エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、現在は映画の作曲、MA、アーティスト活動に加えて、音楽アプリ、オウンドメディア、医療クリニックへの楽曲提供など、様々な分野で活動している。

著書: AI時代の作曲術 - AIは音楽制作の現場をどう変えるか?