今日は2018年に日本での販売が開始されたu-he「Repro-1」をご紹介します。
Repro-1は、1970年代に発売されたビンテージシンセ「Prophet」をモデルにしたソフトシンセです。
特に「Prophet-5」という名機は、YMO時代から坂本龍一が愛用していることでも有名ですが、最近になっても「Prophet-6」「Prophet-8」と新しいモデルが次々販売されていることから、今なお人気のシンセサイザーだということが分かるでしょう。
Repro-1は、とにかくソフトシンセとは思えないくらいリッチな出音で、発売当初はけっこうな話題にもなりました。
僕もRepro-1を始めて使った時は、同じくu-heから販売されている「Diva」というソフトシンセを使った時と同じくらいか、それ以上に感動しましたね。
「ついにソフトシンセはここまで来たのか・・・」と。
この記事では、
- DivaとRepro-1とは何が違うのか?
- Repro-1はどういう人におすすめのシンセなのか?
- 本当に買う価値はあるのか?
といった疑問に答えつつ、Repro-1の素晴らしさを紹介していこうと思います。
「おすすめのアナログモデリングシンセを探している」「Repro-1は本当に自分に合ったシンセなのか知りたい」という人はぜひ読み進めてみてください。
u-he Repro-1を買うと、Repro-5も付いてくる
先ほどから「Repro-1」と紹介していますが、実はRepro-1を購入すると「Repro-5」も付いてくるので、実質二つのシンセを手に入れることができます。
これは、それぞれモデルにしているシンセが違っていて、
- Repro-1(モノフォニック) → Sequential Circuits「Pro-One」がモデル
- Repro-5(ポリフォニック) → Sequential Circuits「Prophet-5」がモデル
となっています。
Pro-Oneは、Prophet-5ほど有名ではないかもしれませんが、日本人だと「石野卓球」も愛用している名機です。
モノフォニックとポリフォニックは「単音」しか出せないのか「和音」が出せるかという違いなのですが、触ってみると単に和音だけの問題ではなく音の太さやキャラクター, 操作性などいろんな部分で異なっているので、自分が欲しいサウンドに応じて使い分けることが大切になってきます。
参考までに僕がどのように使っているのかというと、
- Repro-1 → リードシンセなどのメインパートで使う
- Repro-5 → パッドやアルペジオなどの曲全体を支えるパートで使う
このように使い分けています。
Repro-5で曲のメインとなるシンセサウンドを作ろうとしてもどうも弱々しくなってしまいますし、逆にRepro-1を脇役で使おうとしても主張しすぎてしまうんですよね。
この二つのシンセはどちらかがオマケというわけではなく、どちらも主戦力として使えるシンセなのです。
とにかく音質がソフトシンセの域を超えている
Repro-1が現れるまで最強のアナログモデリングシンセはu-he「Diva」だと言われていましたが、ぶっちゃけRepro-1はDivaを超えてしまったと思います。
もうとにかく音が素晴らしいんですよね・・・
「音がいいってどういいんだよ!」と言われてしまいそうですが、デモを触ってみればすぐ分かるくらい有機的でリッチなアナログサウンドを体感することができるのです。
実機との比較動画なども公開されていますが、正直どっちがどっちか分からないですよね?
決して隅から隅まで完璧に再現されているという訳ではないのでしょうが、これだけリアルに再現されているのなら「もうソフトウェアでいいじゃん・・・」となってしまうレベルです。
特にProphet-5は有名で今でも人気のシンセサイザーなので、中古市場でも50万円前後もしてしまうので。(ビンテージはメンテナンスも大変だし…)
ちなみに、以前に日本を代表するプロデューサー/DJであるAoki Takamasaさんとお話しした際、HDモードを使うと、Cwejman S1 Mk2にも匹敵するサウンドだとおっしゃっていました。
実際に使ってみると、きっとその意味がわかります。
u-heの名作シンセ「Diva」との違いとは?
音質でDivaを超えてしまったと言いましたが、「なら今買うべきアナログモデリングシンセはRepro-1か?」と言われると実はそうとも限らないんです。
DivaとRepro-1の違いはこんな感じ。
- Diva → 5種類の名作シンセを再現している
- Repro-1 → 「Pro-One」「Prophet-5」のみを再現している
このような違いがあるので、Repro-1は、Prophetの音が好みではないという人には全く合わないでしょう。
さらにRepro-1がDivaの音質を超えてしまったといっても、依然Divaは素晴らしい音質ですし使い勝手も良いので、もし僕が誰かにソフトシンセをすすめするとしたらDivaを選ぶでしょう。
実際、僕も普段の制作ではDivaを使うことが多いですが、「Prophetの音が欲しいな」という時だけReproを使っています。
作れるサウンドのバリエーションで言っても、やはりDivaの方が優れています。
なので「俺はPropehtの音がどうしても欲しいんだ!」ということでなければ、特にRepro-1を購入する必要はないのかなと思いますね。
参考: 「u-he Diva」があればアナログシンセはもう不要かもしれない – スタジオ翁
ライバルはArturia「Prophet V」
Prophetのモデリングシンセを探していると、必ず目につくのがArturiaの「Prophet V」でしょう。
Arturiaは業界No.1といってもいいほど数多くの名作ビンテージシンセをソフトウェア化していて、もちろんProphetも再現しているので、選ぶとしたら「u-he」か「Arturia」の2択になると思います。
実は僕も、Arturiaのソフトシンセ全部入り「V Collection」を持っていてProphet Vというソフトシンセも使ったことが何度かあります。
参考: プロも愛用するおすすめのソフトシンセサイザー7選 – スタジオ翁
実際u-heと比べてみてどうだったかというと、
- 音の良さ
- 操作性
この2点では、u-he「Repro-1」の方が良いなと感じました。
もしArturiaを選ぶ理由があるとすれば、「CPU」の問題のみでしょうね。
Repro-1はDivaよりは動作が軽いものの、Arturia「Prophet V」に比べればかなりのCPUを消費します。
Repro-1にはCPU負荷を減らすための「マルチコア」「ハイクオリティ」「スリープ」というモードがあるので、それらを駆使すればCPUの問題はクリアできます。
僕の環境では、MacBookAirだとプツプツノイズが入ることがありますが、MacBook Proだと特に問題なく動作するといった感じですね。
特別パソコンをカスタマイズしている訳ではありませんがちゃんと動いてくれるので、あまり心配する必要もないと思いますが、不安ならデモ版をダウンロードしてみて自分のパソコン環境でちゃんと動くのか試してみると良いでしょう。
Prophetを愛用するアーティストはかなり多い
Propehtは本当に愛用者の多いシンセで、かなり多くのアーティストが使用を公言しています。
- 坂本龍一
- トム・ヨーク
- ダフト・パンク
- ジェームス・ブレイク
- ティコ
- クラフトワーク
- エイフェックス・ツイン
- カルビン・ハリス
- ジョルジオ・モロダー
- JAY-Z
誰でも一度は名前を聞いたことがある、有名アーティストばかりですよね。
他にもEDMからディープハウス, ヒップホップまでさまざまなジャンルのアーティストに愛されています。
まとめ
というわけで、結論。
- Prophetのリッチな音を求めている人は「Repro-1」を買うべし!
- 使い勝手の良いバーチャルアナログシンセが欲しいなら「Diva」を買うべし!
「Repro-1」はProphetの音しか出せないので、使う人を選ぶものの、音質面でいえば「アナログサウンド部門」ぶっちぎりのNo.1です。
今回は紹介していませんが実はRepro-1は内蔵エフェクトも素晴らしく、インターフェースも洗練されているので、音作りもしやすく使い勝手がとても良いです。
プリセットもけっこう豊富なんですが、自分で音作りを楽しみたいという人にもぜひ使ってみてもらいたいシンセですね。
気になった人はぜひ試してみて下さい。
・u-he「Repro-1」- Plugin Boutique