先日ついに念願だった、Soundtoysの全部入りバンドル「Soundtoys 5」を購入しました。
合計14個ものビンテージアナログ機材をモデリングしたプラグインが収めらていて、ウワサ通りそのどれもが素晴らしい出来でしたね。
すべてのプラグインを試してそれぞれの特徴や使い方をまとめたので、Soundtoysのことが気になっていたという方や購入を迷っている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
とにかく最高のプラグインです。
「Soundtoys」とはどんなメーカーなのか?
Soundtoysは、ビンテージ機材のアナログサウンドに現代の技術をかけ合わせることで新しい価値を生み出してきた「エフェクトプラグインメーカー」です。
Soundtoys audio effects bring color, character, and creativity to your digital music studio with plug-ins that merge the sound and vibe of classic analog gear with modern and musical twists.
Soundtoys.com
Soundtoysの前身である「Wave Mechanics社」は、Eventideの名機「H-3000」の開発者が立ち上げた会社です。
この歴史的な名機を作り上げた技術をもって、Soundtoysは多くの優れたプラグインをリリースし続けています。
エフェクトプラグインならDAWにも標準搭載されていることが多いですが、Soundtoysのプラグインは何が違うのでしょうか?
まず実際に存在するアナログ機材を丁寧に研究してそのサウンドをプラグインに反映させているのに加え、かなり細かい部分の設定まで行えるので「こういうエフェクトをかけたいな」という思いにピンポイントで答えてくれます。
そして「細かい設定はいいから素早くお気に入りのサウンドを見つけたい!」という方のためには大量のプリセットが用意されているので、ササッとプリセットを選ぶだけでもいい感じのサウンドになってしまうことも大きなメリットですね。
Soundtoysは初心者から上級者まで使える、とても利便性の高いプラグインエフェクトなのです。
おすすめの「Soundtoys」プラグインベスト5
さて、ここからは独断と偏見によって5つのおすすめプラグインを挙げてみました。
「Soundtoysのプラグイン全部はいらないよ」という方は単体でも購入できるので、まずは気になったプラグインを一つ試してみるという選択肢もありですね。
Soundtoysは、たまに全部入りバンドルへのアップグレードセールを行っていますが、これは持っているプラグインの数だけバンドルが安く手に入るというものです。
なので、いくつか買ってあとからバンドルが欲しいとなってもこのようなセールを上手く活用すれば、今まで購入したプラグイン代が無駄になることもありませんよ。
それではベスト5を順にみていきましょう。
No.1 – 「Decapitator」(サチュレーション)
「Decapitator」は、5つのビンテージ機材の回路を再現したサチュレーションプラグインです。
SoundtoysといえばDecapitator!というくらい人気のプラグインでもあります。(ちなみにDecapitatorは通称デカパイと呼ばれているとかいないとか…)
最近はアナログシンセなど使わずPC内の音源で完結させるアーティストが多いので、アナログライクなひずみを与えてくれるこのプラグインに人気があるのも納得できます。
5つのアナログ回路から好きなものを選んで、「ドライブ」ノブを上げるだけというシンプルさも良いですね。
より詳しい解説は、こちらの記事からどうぞ。
参考: Soundtoys 「Decapitator」の特徴と使い方を解説!! 愛用している著名アーティストは? – スタジオ翁
No.2 – 「EchoBoy」(ディレイ)
「EchoBoy」は細かい設定まで追い込める、万能ディレイプラグインです。
そしてビンテージモデリングを含む31もの「スタイル」の中からディレイの特性を選ぶこともできます。
現代的なディレイプラグインとしてもビンテージディレイプラグインとしても使える優秀なやつですね。
僕は基本的にDAWのリターンに挿して各チャンネルからセンドで送っていますが、EchoBoyを使って積極的に音作りがしたい時は直接インサートすることもあります。
とにかくいろんな用途に使える万能なディレイが欲しいという方には、かなりおすすめです。
参考: Soundtoys 「EchoBoy」の特徴と使い方を解説!! 愛用している著名アーティストは? – スタジオ翁
No.3 – 「PrimalTap」(ビンテージディレイ)
「PrimalTap」はEchoBoyと同じくビンテージディレイプラグインですが、EchoBoyほどいろんなことができるわけではありません。
「Lexicon Prime Time」という1979年に発売されたアナログ機材を再現しているのですが、出来ることが限られているにも関わらず3位にした理由は、このプラグインにしか出せない独特なディレイの空気感があるからです。
いまだに実機を使っているプロのアーティストも多く、価格もビンテージにしては高すぎて手が出ないほどではないので、いつか実機を手にしたいと考えている機材でもあります。
参考: Soundtoys 「PrimalTap」の特徴と使い方を解説!! 1979年発売のLexiconの名機「Prime Time」を再現 – スタジオ翁
No.4 – 「PanMan」(パンニング)
「PanMan」は細かい設定まで追い込めるパンニング専用プラグインです。
パンニングのプラグインなのにビンテージ機材の挙動やサチュレーションを再現しているのは、さすがSoundtoysだと感じました。
曲に動きを出すためにパンニングはとても重要ですが、いちいちDAWでオートメーションを書くのも面倒ですよね。
これがあれば簡単かつ良い感じにパンを振ることができるので、とても重宝しています。
参考: Soundtoys 「PanMan」の特徴と使い方を解説!! ビンテージ機材を再現した多機能パンナー – スタジオ翁
No.5 – 「SuperPlate」(プレートリバーブ)
プレートリバーブの決定版がついに登場しました。
5つのプレートエミュレーションと、2つのプリアンプを使って、自分好みのプレートリバーブを作ることができます。
世の中にはいろんなプレートリバーブプラグインがありますが、その中でもSuperPlateは、かなり勝手の良いプレートリバーブだと思います。
まだプレートリバーブのプラグインを使ったことがないという人は、こちらのプラグインから入ってみるのがおすすめ。
参考: Soundtoys「SuperPlate」やっと来たプレートリバーブの大本命 – スタジオ翁
その他の「Soundtoys」プラグインをご紹介
さてここまでがベスト5になりますが、基本的にSoundtoysのプラグインは全て素晴らしので、残りのプラグインも全て解説していきたいと思います。
ちなみに最初に、合計14個のプラグインといいましたが「Soundtoysは14個以上プラグインをリリースしているぞ!」と勘のいい方はお気づきになっているかもしれません。
実は、Soundtoysは「Little〜」という簡易版のプラグインもいくつか出しているので、実際の数はもうちょっとあるんですね。
ただ基本的に簡易版プラグインにしかない機能というのは存在しないので、この記事では簡易版の紹介は省かせてもらっています。
詳細が知りたい方は、それぞれのプラグインごとに詳細記事へのリンクを貼っているのでそちらをご覧になってみてください。
それでは、残りのプラグインを一気に解説していきましょう。
「PhaseMistress」(フェイザー)
「PhaseMisress」はビンテージモデリングのフェイザーですが、フェイザーエフェクトはかけすぎると古臭いサウンドになってしまうため使用頻度は高くありません。
しかしあまり目立たせないようにかけることで、微妙に音を揺らしてサウンドに奥深さを出すことができるため、たまにプリセットからいい感じのものを選んで使っています。
参考: Soundtoys 「Phase Mistress」の特徴と使い方を解説!! そもそもフェイザーってどんなエフェクトなの? – スタジオ翁
「Crystallizer」(リバースエコー)
「Crystallizer」は少し変わったディレイプラグインです。
通常のディレイとしても使えるのですが、原音をサンプリングして逆再生させた音をディレイ音として使うことができます。
この機能によって、他のプラグインでは再現できない独特なサウンドを得ることができるんですね。
「グラニュラー・リバース・エコー」とも呼ばれるような、過激ながら美しいサウンドが作れます。
参考: Soundtoys 「Crystallizer」の特徴と使い方を解説!! 愛用している著名アーティストは? – スタジオ翁
「Radiator」(サチュレーション)
「Radiator」は、Altec 1567Aチューブ・ミキサーの真空管回路をモデリングしたサチュレーションプラグインです。
かなり過激な変化をするので若干扱いづらい部分はありますが、ちょっと音に芯がなく物足りないという時にMIXノブでバランスをとりつつサチュレーションをかけてあげると、一瞬で存在感のあるサウンドに仕上げることができます。
ポイントでうまく扱えば、結構つかえるプラグインだと感じています。
参考: Soundtoys「Radiator」の特徴と使い方を解説!! サウンドに1960年代のアナログ感と温かみを与えるプラグイン – スタジオ翁
「Devil-Loc」(リミッター)
「Shure Level-Loc」というリミッターをモデリングしたプラグインで、とにかく激しくひずみます。
音が破壊的すぎて使いどころがイマイチわかりませんが、僕がロックサウンドが好きではないのも関係しているのかもしれません。
パッツンパッツンの激しいロックサウンドに仕上げたいという方は、試してみるとよいでしょう。
参考: Soundtoys 「Devil-Loc-Deluxe」の特徴と使い方を解説!! 1960年代生まれの名機を再現した破壊的なリミッタープラグイン – スタジオ翁
「Sie-Q」(イコライザー)
1960年代に活躍したビンテージEQ「シーメンスW295B」を再現したプラグインです。
3バンドのイコライザーなのですが、中域しか周波数帯が選べないので細かい調整には向いていませんね。
ちょっとエアー感を足したり、アナログっぽいひずみを出すのに使うのがおすすめです。
高域の抜けを良くするEQに「MAAG」という有名なEQがありますが、SIE-Qのハイエンドもなかなか良い抜け方をします。
参考: Soundtoys 「Sie-Q」の特徴と使い方を解説!! 実際に使ってみた感想 – スタジオ翁
「Tremolator」(トレモロ)
Fender Vibrolux、MultiVox Premier、SilverTone、DanElectro Amp、Wurlitzerなどあらゆる機材のトレモロを再現したプラグインです。
サウンドに、時間的変化を加えたい時に使ってみましょう。
トレモロは一般的なDAWにも入ってますが、Soundtoysのものは本当にできることが多いですね。
参考: Soundtoys 「Tremolator」の特徴と使い方を解説!! あらゆる設定まで追い込めるトレモロプラグイン – スタジオ翁
「MicroShift」(マイクロピッチシフター)
ボーカルなどに挿すことで、サウンドに広がりや深みを出すプラグインです。
Soundtoysの創業者がEventide H3000の開発者だったこともあり、いくつかの機能がH3000のプリセットをもとに作られています。
Junoシンセサイザーなどにも似たような機能が付いていますよね。
使い方がとても簡単で、ボーカルだけでなくシンセなどに使うのもおすすめですよ。
参考: Soundtoys 「MicroShift」の特徴と使い方を解説!! 愛用しているあの大物アーティストとは? – スタジオ翁
「Little Plate」(プレートリバーブ)
割と最近リリースされたプラグインで、Soundtoys初のリバーブプラグインです。
EMT140という有名なプレートリバーブをモデリングしているのですが、僕はUADからリリースされているプラグインも持っていて、どちらかというとUADの方が好みだったりします。
Soundtoysの方が機能がシンプルで、初心者には使いやすいと思います。
参考: Soundtoys 「Little Plate」の特徴と使い方を解説!! UADプラグイン「EMT140」との違いは? – スタジオ翁
「FilterFreak」(フィルター)
Moog Filter、Mutator、Sherman FilterBank、Mutronエンベロープペダルなど、古典的なアナログ機器に敬意を表しながら、セッションのBPMにシンクするLFOスウィープなど、プラグインならではの機能も盛り込んだ名器。
とのこと。
「FilterFreak2」では、二つの独立したフィルターを扱うことでかなりユニークなサウンドを生み出すことができます。
結構細かい設定もできるので、フィルターで積極的に音作りがしたいという方におすすめです。
参考: Soundtoys 「FilterFreak」の特徴と使い方を解説!! あらゆる設定まで追い込める音楽的フィルタープラグイン – スタジオ翁
「Little AlterBoy」(ボーカルピッチシフター)
これは「フォルマントピッチシフター」といわれる、現代風のピッチシフターです。
ボーカルにかけると「あー、この感じ最近よく聞くな」という感じでした。
単純にピッチを変化させるプラグインではないので用途はかぎられるかもしれませんが、ボーカルを積極的に加工したい方にとっては、あると便利なプラグインかもしれません。
参考: Soundtoys 「Little AlterBoy」の特徴と使い方を解説!! ボーカルを一瞬でモダンサウンドにするプラグイン – スタジオ翁
「Soundtoys」を愛用しているアーティストたち
Soundtoysの公式ページをみれば分かりますが、プロアーティストにかなり多くの愛用者がいますね。
Chvrches, Mija, Clean Bandit, Zeddなど挙げればキリがありません。
興味がある方は公式ページか、先ほど紹介したプラグイン別記事に使用アーティストを載せているので、そちらをご覧ください。
「Soundtoys」のセールはいつ?セール時期以外でも安く買う方法とは
Soundtoysは、11月から1月にかけて「ブラックフライデーセール」を行っていることが多いです。
夏にもセールを行っていることがあるので、欲しいプラグインがある方は情報をこまめにチェックしておくことをおすすめします。
ちなみにセール時期以外でも安く購入する方法はあります。
それはSoundtoysの学割を使うことです。
ほとんどの方は使えないでしょうが、まだ学生だという方は今のうちに購入しておきましょう。
学生だと、かなり安く購入することができますよ。
「Soundtoys」の使用に「iLok」のドングル(USB)は必要?
Soundtoysのプラグインを使うのに、Lokのドングルは必要ありません!
Soundtoysのプラグインは、ライセンスをiLokという規格で管理する必要がありますが、パソコンに「iLok License Maneger」というソフトを入れるだけでオーソライゼーション(ライセンスの承認作業)を済ませることができます。
参考: iLokって何?ドングルの必要性とiLokクラウドの使い道 – スタジオ翁
Soundtoysの場合は、すべてのプラグインでドングルが必要ないので、心配する必要はありません。
【保存版】「Soundtoys」の全プラグインを解説!! セール情報やおすすめのビンテージエフェクトもご紹介 | まとめ
Soundtoysのプラグイン解説は以上となります。
本当におすすめできるプラグインばかりなのでバンドルでの購入をおすすめしますが、気になったプラグインがあれば単体でもぜひ試してみてください。
ビンテージエフェクト系なら、Soundtoysで揃えれば間違いなしです。
Soundtoysは新作プラグインを期間限定で無償配布していることもあるので、Soundtoysのプラグインを試してみたいという方は、DTM関連のニュースなどをこまめにチェックしておくと良いでしょう。
過去にも「Little Plate」や「Little AlterBoy」などのプラグインが無償配布されていたことがありますので。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。